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サレンダー。投了、降参とも。
ゲームの途中で自ら敗北を認めること。 

ゲームをすることがプレイヤーの権利ならば、それを止めることもまた権利であるべきなのです。

◆遊戯王では「投了」というルールがない

 すこし前の話になりますが、遊戯王デュエルリンクスで「相手ターン中の投了」が実装されました。
それまで自分のターン中にしか行えなかったため、負け確の場面で相手にチンタラされてストレスが無限にたまったり、挙句の果てに通信切断を誘引していました。それがすべて解消され、対人戦におけるストレスは一気に低減しました。

反面、本家ともいえる遊戯王OCGでは、いまだに「投了」というルールすら整備されていない始末です。
ルールがないので投了できず、どのような状況でも、プレイヤーは愚直にゲームを続けることを強いられています。

40分。遊戯王OCGにおける1マッチの制限時間です。もう何年も前から高速化しているといわれ続けているOCGの対戦環境ですが、この制限時間を使い切ることは日常茶飯事です。試合が長時間化する要因はいくつかありますが、その一つとして「投了できない」ことが挙げられるでしょう。負けが確定していても、相手がコンボを完走するまで黙って座って見てるしかないわけです。そしてそれは、遅延行為という別の問題の温床にもなっています。
以前あるイベントでジャッジのお手伝いをさせてもらったことがありますが、制限時間40分のはずなのに、1ラウンド目のすべての試合が終わるまでに90分を要したことがありました。あまりのことに愕然としたのを覚えています。

こういった運営上の問題を解決するためにも、投了というルールは整備されて然るべきでしょう。
それだけですべての試合時間が短くなるわけではないですが、誰も得しない不要な時間の多くを、より有意義に使えるようになるでしょう。


◆大戦犯ヴィクトリー・ドラゴン

なぜ遊戯王OCGで投了ができないのか。
結論としては、こいつのせいなのです。悪名高き「ヴィクトリー・ドラゴン」の。
このカードの直接攻撃によってデュエルに勝利すると、そのままマッチに勝てるカード。当然禁止カード。僕ですら、実際に使ったことはなく、あくまで歴史として知っているだけのカードです。

つまり、このカードによってマッチごと敗北するくらいなら、先に投了して次のゲームを始めよう。
そういった行為を防ぐため、そもそも投了できないようにしよう、ということなのです。

繰り返しますが、ヴィクトリー・ドラゴンは現在禁止カードです。おそらく、今後制限が緩和されることはないでしょう。今のカードプールであれば、当時以上の速度と確実性でこのカードを通すことが可能と思われます。つまり、二度と使われることがない、バグとしか形容できないカードのせいで、投了が認められないまま今日に至ってしまったわけです。そして残念ながら、これからも変わらず、時間をドブに捨て続ける羽目になるわけです。

◆解決策:レギュレーション別での対応

100000000000歩譲って考えれば、たとえ禁止されていてもカードはカード。無意味になるようなルールは制定できない、という理屈がもしかしたらあるのかも知れません。

その解決策として、レギュレーション別でのルール整備を提案します。
ざっくり言ってしまえば「ヴィクトリー・ドラゴン(またはそれに類する効果を持つカード)」を使用可能なルールでの対戦でのみ、投了を認めない、というルールにすべきです。

発想のヒントはMTGにあります。
MTGの古いカードの中には、遊戯王の「クイズ」のように、墓地の順番を参照するカードがいくつかあります。そのため、それらの古いカードを使用可能なルールではその順番を入れ替えることは認められていません。
一方で、スタンダードやモダンなど新しいカードを使用するルールでは、そのようなカードが存在しないので墓地の順番を自由に入れ替えることができます。
使えるカードプールにあわせて、不必要なストレスをプレイヤーに与えないように配慮されているのです。

遊戯王でも同様の対応をすべきでしょう。

「ヴィクトリー・ドラゴン」を使用可能なノーリミット・デュエルでは、投了を認めない。

通常のリミット・レギュレーションでは、マッチに関する効果を持つカードは存在しないため、投了を認める。

たったこれだけのことで、ただ座っているだけの無為な時間をなくすことが出来るようになるわけです。
一刻も早く、この愚かなルールが改善されることを強く願ってやみません。







プロフィール

HN:はったー
名古屋でカードしてるカードショップ店員。
遊戯王とゼクスを中心に、カード関係の話題なら何でも頭を突っ込みます。

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