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スキルとカードの組み合わせによって、デュエルリンクスには様々なアーキタイプが存在している。
その中には【害悪】と呼ばれ、忌み嫌われているものも存在する。だけど、本当に【害悪】だなんて呼ばれなければいけないほど、彼らは「害悪」なんだろうか。



◇どんなデッキが【害悪】呼ばわりされているのか

デュエルリンクス。そのプレイヤー層は従来の遊戯王OCGファンのみならず、原作ファンやソシャゲプレイヤーなど多岐に渡る。
それ故に、従来の遊戯王OCGとは異なる言葉が用いられることも多い。【害悪】は、そんな言葉の一つだ。

相手の攻撃を封じるカードを多用し、自分は直接攻撃や効果ダメージでじっくり相手を削るデッキ=【害悪】。いつしかそんな呼び方が、デュエルリンクスでは定着してしまった。
今までの遊戯王では、こういったデッキは【ロックバーン】あるいは単に【ロック】と呼ばれていたはずなのだ。
こういったデッキが好きか嫌いかは個人によるが、少なくとも、その呼び名に嫌悪の感情は込められていなかった。


◇なぜ【害悪】などと呼ばれるのか

【害悪】の歴史は長い。
デュエルリンクスのサービス開始当初から、「虫野郎」ことインセクター羽蛾のキャラクターコンセプトがまさにこの【害悪】、ロックバーンだった。「寄生虫パラサイト」を相手のデッキに直接放り込む原作リスペクト能力で相手のモンスターゾーンを塞ぎつつダメージを与え、長期戦を制することに特化していた。
その後、パラサイトの最大枚数が3枚から2枚に減少する弱体化の調整を受けながらも、カードプールの増加と共に新しいバリエーションを次々に獲得していった。

・「重力の斧-グラール」と表示形式変更カードを組み合わせたロック+「闇の住人シャドウキラー」による直接攻撃
・「肥大化」による防御+「アマゾネスの剣士」でダメージを跳ね返す+「ラヴァゴーレム」
・「心眼の神殿」によるダメージ軽減+「因幡乃白兎」などの直接攻撃(+闇遊戯の「デステニー・ドロー」)

などなど。
いずれのバリエーションも、相手の攻撃を防ぎ、攻撃以外の方法で少しずつダメージを与える長期戦志向のデッキだ。そのため、対戦相手からすると思うようなデュエルが出来ない上に決着が着くまでに長い時間拘束されるので、ストレスが溜まるデッキであることは否定できない。特に、普段のゲームスピードが早いデュエルリンクスでは尚更だろう。

勝っても負けて時間がかかり、思うように攻撃出来ず、なんか羽蛾の顔もムカつく。マッチングされるだけで気が滅入る。そんな感情を反映するように、気がつけば【害悪】という呼び名は定着していった。

◇【害悪】は本当に「害悪」なんだろうか

マッチングすると確かなストレスを感じさせるデッキである【害悪】だが、本当にこのデッキは「害悪」なんだろうか。
むしろ、このようなロックバーンデッキが存在することは、健全な環境であることの証拠ではないかとすら考えている。

直接攻撃。効果ダメージ。攻撃ロック。いずれも、本家OCGではインフレの波に飲まれ、存在感を失った要素である。昨年の世界大会小学生の部でこそ【チェーンバーン】が優勝したが、決して人気があるとも、強力で使いやすいデッキとも言えない。(そもそも世界大会は普段と異なる制限リストが適用されている。)
かたやデュエルリンクスでは、【恐竜】のようなシンプルなビートダウンデッキや、【ネフティス】【機械天使】のようなコンボデッキに加え、第三のアーキタイプとして【害悪(ロックバーン)】という選択肢がたしかに存在している。
さらに、このような魔法罠を多用するデッキの存在は、同時に魔法罠対策カードの価値を高めている。デッキにどの程度対策カードを入れるか。それとも使う側に回るのか。割り切ってコンボにオールインするのか。環境の多様性はむしろ、「害悪」と呼ばれるデッキの存在によって生み出されているとさえ言える。

また、ロックバーンとマッチングすることはストレスに感じられるかもしれないが、冷静な視点で見ると、その強さは嫌悪されるほどのものではない。
過去に「フライング寄生」が弱体化したことがあったが、それ以降ロックバーン関連パーツの規制は行われていない。要するに規制するほどのレベルに達していないのだ。
現時点(2018年2月)の環境を見渡しても、支配的と言えるデッキは【機械天使】【陽炎獣】などであり、【害悪】ではない。むしろ、【機械天使】対策として環境に睨みを効かせているが、それでもなお突破されることも多い。一方で【剣闘獣】【ネフティス】といった「不戦敗」レベルのデッキも多い。
つまり、【害悪】は「害悪」どころか、「健全」とすら呼べるデッキなのだ。今の環境から彼らがいなくなれば、【機械天使】の支配率は瞬く間に、それこそ「害悪」と呼べるレベルまで引き上げられるだろう。

◇【害悪】と呼ばないために

もはや、健全なロックデッキを【害悪】と呼ぶ理由はほとんどない。些細な時間的問題と、感情の問題だけだ。
ロックデッキに勝てるデッキを選ぶのか、それとも割り切って負けるデッキを選ぶのか。これは健全な環境の中で発生する健全な選択肢であり、プレイヤーが負うべき責任の範疇を出ていない。
【害悪】に負けるのが嫌なら勝てるデッキを選び(そして他のデッキに負け)、そうでないなら割り切って他のデッキに勝つ(そして【害悪】に負ける)のだ。それがデッキ選択というものなのだ。その選択肢を狭めるほどの支配力は、このデッキにはないのだ。
プレイヤーとしての努力を放棄して、健全なデッキを「害悪」呼ばわりすることは、怠慢という他ない。
今日を限りに、デュエルリンクスにおいて【害悪】が死語となることを願う。







プロフィール HN:はったー 名古屋でカードしてるカードショップ店員。 遊戯王とゼクスを中心に、カード関係の話題なら何でも頭を突っ込みます。 ツイッターやってます。更新情報おしらせします!