日本選手権プレ・予選大会の真っただ中、最高潮の盛り上がりを見せる15弾環境。
発売後1週間ほどの間に3つもの予選大会で、8人もの権利獲得者と、8つの優勝デッキが生まれた。環境初期とは思えない程濃厚な情報が出そろっている。
残る中部予選に向け、この環境を紐解いてみよう。 

 
※以下敬称略

まずこの環境を語るうえで、このデッキは絶対に外せない。
環境を定義した「最良」のビートダウンデッキ、サイクロペルツだ。

■赤青黒サイクロペルツ

参考:日本選手権プレ関東予選②Dブロック優勝(HN:kisuke)


○どんなデッキ?
赤青黒サイクロペルツは、15弾で登場したSR「双醒真輝サイクロトロン」を、同じく15弾SRの「怠惰の使者ファオルペルツ」や、「オリジナルXIII Type.III”Ch05AI”」などでサポートするビートダウンだ。
上記カードによって、序盤戦で相手とのIG試行回数&成功率に差をつけて、テンポのいいビートダウンによって勝利を目指す。 
カダブ&ガルルムや、エレキラー&ダムスタなどの細かいシナジーがいくつも組み込まれており、小さなアドバンテージを積み重ねながらコンスタントにライフを攻めていける構成になっている。リソースリンクが入っていない分ゼロ・オプティマを早期に達成しやすく、立ち上がりの速度で大抵のデッキを圧倒できる。
なにより、サイクロトロンの9000打点がゲーム序盤にタダで出てきてしまうとそのまま決まってしまうゲームも多い。安定感と爆発力を兼ね備えたデッキに仕上がっている。 

上記の関東予選でデビューを飾ったこのデッキは、その完成度の高さを見込まれ、多くのプレイヤーが続く近畿四国予選、中部予選①で選択した。 そして、近畿四国予選Aブロックでも、まったく同じ50枚が1位2位に入賞している。あ、ちなみに2位は筆者です。いえーい。
現時点で最も「勝ち組」といえるデッキなのは間違いない。

しかし、そんなサイクロペルツも決して無敵ではない。
ファオルペルツが干渉できない6コスト以上のゼクスを中心としたランプコントロールが存在する。

■赤黒緑アテナ

参考: 日本選手権プレ近畿・四国予選Bブロック1位(HN:マキタ)
 (2/9時点で公式にレポート未掲載のためツイートのみ)

○どんなデッキ?
15弾のSR「雷炎の守護者アテナ」を活かすため、それぞれの効果の発動条件となる黒と緑を組み込んだ重いコントロールデッキだ。新しいリソースリンクの「ブンブンするシャーロット」「金満甲虫ピエニードローン」を素直に組み込み、爆発的なリソース加速を実現している。リソリン+アテナが成立すれば、リソース6枚から次のターンには一気に11枚に到達する速度は圧倒的で、そこから繰り出されるヘビー級カードを振り回すだけで相手はたちまちKOされてしまう。余ったリソースでひたすらにハンデスを継続して行えるので、相手がたちまち息切れしていく。自分の時間帯まで生き延びたこのデッキは本当に難攻不落なのだ。
いくつかプレイヤー指定枠に選択肢はあるが、このレシピではガーンデーヴァを採用し、序盤の攻防を生き延びることを重視した形になっている。その他では、安定感を重視したレルムレイザーや、より重さを重視したマルディシオンなどが候補になる。 

先述したように、6コスト以上の重いカードが中心なので、ファオルペルツがリムーブできる5コスト以下という効果範囲が有効に働かない。それどころか相手のキンレンカによってエサにされ、最速4リソで相手は6コストの切り札を登場させてしまう。それに加えてハンデスが飛んでくるのでサイクロトロンやタイプ3を活かすための手札もキープできなくなってしまう。サイクロペルツにとってかなりかみ合わせの悪いマッチアップだ。 

ではこれが最強のデッキなのか、と決めるのは早計だ。
ビートダウンとのマッチアップを想定したデッキであるため、より重く、より強いカードとのぶつかり合いでは不利と言える。それが、青緑リンクだ。

■青緑リンク

参考:日本選手権プレ関東予選②Aブロック1位(HN:遊雨)日本選手権プレ関東予選②Dブロック2位(HN:しとさ)
 
○どんなデッキ?
15弾で登場したリソースリンク「道交変形セリウム」「快速獣人ウェアブロングホーン」を活用し、小型ゼクスのパワーアップによって盤面の有利を作りながら、大型ゼクスによるレンジ2軍団で一気に勝負を決めるデッキだ。
ひとたびリソースリンクさえ成立してしまえば、ゼクスの性能は相手とは比較にならないほど強力になる。
すべての大型ゼクスがレンジ2で、全ての小型ゼクスがパワーアップしてるのだ。勝てない方がおかしい。
高いコントロール性能を誇る赤黒緑アテナに採用されている大型ゼクスも、PSから飛んでくる11000レンジ2攻撃にはさすがに成すすべなく倒れてしまうのだ。
特にこのデッキのダムスタは非常に強力で、レンジ2を得ると同時に、2コストのゼクスがパワーアップすることで登場効果のコストとして戻せるようになる。4コスト1100レンジ2のスーパースペックゼクスが誕生するのだ。

非常に最強っぽいデッキではあるが、リソースリンクがどちらも6リソまでは機能しないので、序盤戦をしのぐ力が赤黒緑アテナと比べて弱い。また、レンジ2はあくまでも自分が攻めている盤面でこそ強力で、反面、受けに回っている場面ではほとんど意味がない能力といえる。序盤で多くのゼクスで攻め立てるサイクロペルツにはやや不利な戦いを強いられてしまう。

また、プレイヤーによって採用カードに大きなばらつきがあるのも特徴だ。
サイクロ+ペルツ、アテナ+リソリンのように、デザインに込められたメッセージが強く主張していない、いい意味でいえば自由度の高いカードである。どのようなカードで守り、そして逆転していくのか。その選択次第でメタゲーム上の立ち位置はこれから変わっていく可能性は高い。セリウムを2枚以上リソースに置く意味がないので、採用枚数を4枚よりも少なくしているデッキもすでに見かけるほどだ。将来的な期待値、ポテンシャルを秘めているデッキなので、研究のしがいはあるだろう。

環境の基本的な要素としては、ここまでに紹介した3つのデッキがジャンケンのような3すくみ状態を形成している。そこに、いくつかのデッキが別の軸で勝負を仕掛けに来ている。 
その一つが赤青リンクだ。

■赤青リンク系

参考:日本選手権プレ関東予選②Bブロック1位(HN:タコ助)、日本選手権プレ近畿四国予選Cブロック1位(HN:大福ほっぺ)
 
 
○どんなデッキ?
15弾のリソースリンク「緋色の海鳥クリードガーネット」「軽快笛モーエ」を活用したデッキだ。
リンクが成立するとモーエの効果によって、自分のゼクス登場時に相手ゼクスを移動させることが可能になる。
ゼクスの配置権を半分相手からはく奪し、自分にとって都合のいいゲームメイクを行えるようになるテクニカルなデッキだ。
今までなら自軍スクエアを固めることで相手の攻撃手段を奪うことができたが、このデッキ相手にそれはもはや通用しない。移動効果とバーンで強引にスクエアをこじ開け、2点3点を平然と奪っていくのだ。
どちらのデッキも、PSに対する干渉力としてクロススピアを採用しているのは興味深いところだ。

関東予選のデッキはニコレアを採用した徹底的なウィニーだが、近畿四国予選のデッキにはザッハークなど防御力の高いゼクスも採用されており、構築の幅を感じさせてくれる。
リンクが成立するかどうかでデッキパワーに大きな違いが出るので、どのデッキにも勝てる可能性はあるが、同様に負ける可能性もあるデッキといえる。しかし、すでに2人のプレイヤーが権利を勝ち取ったそのポテンシャルは本物だ。



現時点で登場してきている新デッキは以上の4つが主なところで、ここに加えて、従来から存在する名古屋ESやクロエも新環境で活躍している。

参考:日本選手権プレ関東予選②Cブロック1位(HN:フソウ)、日本選手権プレ中部予選①(HN:キノ)



直近の中部予選①で「サイクロペルツに有利なクロエを選択した」とあるように、このわずか1週間の間に、すでにメタゲームは回り始めている。
残るは13日の中部予選②、20日の中部予選③、計3枠のみとなっている。
この短い期間の間で、サイクロペルツが再び勝ち組に戻るところまでメタが回りきるとは思えない。
サイクロペルツを選択する人は多いだろう。このデッキのレシピにはそれだけの魅力がある。しかし、線の細い部分は隠しきれず、意識されると負け組になるだろう。
おそらくアテナか、他のサイクロペルツに強いデッキが勝ち組になるだろう。そこよりも遅いデッキは、サイクロペルツの海を泳ぎ切れるかどうか不安が残る。
近畿四国予選では、対サイクロペルツに特化した新赤白リソースリンクの話も耳にした。そういったダークホースの登場にも期待したい。

筆者は13日の予選は予定が合わず、20日はスタッフ側として参加するためいずれも出場できない。
だが、本稿が権利獲得を目指す助けになれば幸いだ。健闘を祈る。

 









プロフィール

HN:はったー
名古屋でカードしてるカードショップ店員。
遊戯王とゼクスを中心に、カード関係の話題なら何でも頭を突っ込みます。

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