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今回はデッキ構築論。大会向けじゃない、フリーデュエルで使って楽しめるデッキの組み方について書いていきます。



今回紹介するのは、フリーデュエル向けのデッキ構築論です。
人によって解釈が違う言葉ですが、あえて言うなら『ファンデッキ構築論』とでも言いましょうか。
大会で勝つために選択するデッキではなく、自分がそのデッキを使いたいから選択するという点で、勝利が至上の目的ではなくなっていることからファンデッキと言って差し支えないと思います。

今回は、ストラクチャーデッキ『青眼龍轟誕』で強化された【青眼の白龍】デッキを例に紹介していきたいと思います。

ステップ1:やりたいことを明確に定める。

まずは方針を明確にしないことにはどんなカードを入れるべきなのかも定まりません。
ファンデッキを組む上で最も大事なのは、『そのデッキであなたは何がしたいのか』ということです。
特定のカードを活躍させたい、テーマにこだわりたい、コンボを決めたいなどなど、デッキに与えられる目的、あなたの欲求は様々です。その欲求をしっかりと満たせるデッキこそが、よいファンデッキと言えるでしょう。

青眼の白龍を主軸にしたデッキには様々なアプローチがありますが、その中から今回は青き眼の乙女の効果による特殊召喚と、竜の霊廟銀龍の轟咆による捨て蘇生をメインギミックに選択しました。これらはいずれもストラクチャーデッキで新たに収録されたカードです。新カードによる新しい【青眼の白龍】の戦略を体験したかったので選択しました。霊廟でデッキから青眼を落としても乙女の邪魔にならず、乙女のリクルートからシンクロ召喚に繋ぐことで擬似的な捨て蘇生になるので、選んだ2つのテーマにある程度の親和性があるのが嬉しいところです。

上のように、このステップでは本当に自分がやりたいことだけで決めてしまって構わないです。
究極完全態グレート・モスを召喚したい、とかでも全く問題ありません。むしろ素晴らしい欲求です。
そのうえで、選んだテーマである程度デッキの地力、伸び白が定まる場合があることも頭に置いてください。



ステップ2:手札事故を起こさないように組み上げる。

俺は、手札事故はフリーデュエルで最もやってはいけないことだと考えています。
もちろん、大会でも負けに直結することなので出来れば避けたいものですが、フリーデュエルの場ではまた違った事情から手札事故を避けるべき理由が存在しています。

ずばり、つまらないからです。
初手で動作不良を起こしてしまったデッキは、そのまま相手になすすべなくやられてしまうでしょう。
こうなると使ってる自分もつまらないですが、対戦相手としても無抵抗の相手をやっつけても面白くない訳です。
よく手札事故を起こすようなデッキというのは言うなれば肝心な時にフニャフニャなインポ野郎みたいなもんです。自分が楽しめないばかりか、相手にも失礼です。
事故率4割で勝率6割のデッキよりも、事故率0割で勝率5割のデッキの方がフリーデュエルでは好まれるのです。
勝ち負け以前に、まずはしっかりとデッキが動くことを重視しましょう。

さて、今回のテーマは乙女と捨て蘇生でした。
このデッキではまず、乙女の効果を発動するために自分のカードを対象に取るカードをある程度以上の枚数入れる必要があります。しかし、それらのカードは乙女を前提に採用されているので、乙女を引けなかったときには持っている力を最大限引き出せなくなってしまいます。それを避けるため、まずは乙女をリクルートしてこれるワン・フォー・ワンを採用します。これだけでは心もとないので、乙女と類似した効果を持つ聖刻龍-ドラゴンヌートを採用しました。初動で特殊召喚コンボをできるだけ決めやすくなるようなカードを選択できました。
また、霊廟による墓地落としも、蘇生カードがなければすぐにはゲーム展開に結びつきません。
そこで、神竜アポカリプスを採用して、墓地落としを擬似的なサーチ手段として活用できるようにしました。
このデッキではリクルートと捨て蘇生が主な特殊召喚手段なので、手札に青眼が来てもあまり嬉しくありません。
その青眼を墓地に落としながら有用なカード、ドラゴン族最大のパワーカードであるレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンと交換できるアポカリプスは最適解と言ってもいいでしょう。 もちろん、捨て蘇生がテーマである以上レダメが入らない理由もありません。
さて、141、アポカリプスと手札コストを要求するカードが相次いで採用されたました。
先ほどまで手札に来ても嬉しくなかった青眼ですが、手札コストとしてなら来ても悪くない気がしてきました。
伝説の白石を1枚だけ採用し、霊廟で青眼をサーチできるようにしました。白石自身がコストとして適しているモンスターでもあります。特に141はコストにモンスターカードを要求するので重宝するでしょう。

このように、カード同士のシナジーをどんどんつなげていって、手札の中のカードを可能な限り100パーセントの力が発揮できる状態にしていくのが自己流の事故の失くし方です。もちろん、想定されうる最悪の引き方というものは失くせないので事故は完全には避けらるものではありません。たぶん世界チャンピオンでも無理です。 
それでも、ほとんどのゲームをまともな手札で戦えることが出来るようになるのでかなりのストレスから解放されます。 
ポイントとしては、序盤で使いたいカード、カード同士のシナジーで始点になるカードほど多く採用し、終盤に使いたいカードやカードシナジーの終着点になるようなカードはそれより少な目にすることです。こうすることで、初手で重いカードばかりに悩まされるようになる可能性を軽減できます。


ステップ3:やりたいことをやり通すために

遊戯王は対戦ゲームですので、当然自分のやりたいことだけを常にやり続けられるわけではありません。
相手からの妨害も入りますし、こちらも相手のジャマをしなければ押し切られてしまいます。
ファンデッキ同士の戦いで妨害など無粋、などという意見もありますが、正直、個人的には奈落1枚すら対処できないようなエースモンスターをエースと呼んではいけないと思います。 お互いが真に全力を尽くしたうえで場を制圧してこそエースモンスターというべきでしょう。

しかしながら、常に空いたスペースにサイクロン奈落の落とし穴といった汎用カードを採用するのが正解という訳ではありません。デッキの動きに絡まないカードは、それだけで事故の原因にもなります。サイクロン3枚と奈落2枚なんて初手は破り捨ててやりたくなります。
考えるべきは、如何にふさわしい方法で問題を解決すべきか、です。
採用すべきカードは、デッキテーマによって変化していくのです。

青眼でのビートダウンを軸にするのなら、やはり相手からの妨害は避けられません。
サイクロンを入れるのは決してそれほど悪い選択肢ではありません。ですが、より青眼らしい方法で相手の除去を突破してみることにしました。相手の除去に頭から突っ込んで、モロに受けながら消費させていきます。
そして、豊富な蘇生カードで再び青眼を場に戻し、相手の除去が尽きるまで青眼で攻撃し続けるのです。そのために、銀龍の轟咆に加えてリビングデッドの呼び声を採用し、蘇生カードを充実させました。
また、シンクロモンスターである蒼眼の銀龍の効果でも除去を避けられる上に、次から次へと青眼を戦場に呼び戻せます。
バウンスによる除去は、141とアポカリプスの手札コストで墓地に送り込んでカバーし、除外されてしまったカードは竜魂の城がカバーします。今回は採用しなかったサイクロンですが、もし入れるのならここまでのカードを採用し、竜魂の城を破壊できるというシナジーが生まれた時点で初めて採用候補になるカードです。 

また、もう一つの手段として亜空間物質転送装置を採用しました。これで相手の除去を空振りさせることが出来ます。乙女の効果発動条件にもなるカードでもあり、銀龍が相手からエフェクト・ヴェーラーを受けてしまった際のケアとしても機能します。地味に気に入ってる点として、ほんの少し海馬ごっこもできる万能カードです。 

相手への妨害手段には禁じられた聖杯を採用しました。
言わずもがな、自分のカードをも対象に取れるカードというのが採用理由です。時には乙女のトリガーとして、時には相手への妨害として機能する1枚で2度美味しいカードです。相手モンスターの攻撃力を上げてしまいますが、こちらは元々攻撃力が高い青眼と、さらに攻撃力を上昇させられる竜魂の城を擁しています。恐れることはないでしょう。
もう1種類、王者の看破も採用しました。ドラゴンヌートで攻守0になっている青眼にも意義を与えられるカードです。相手の除去が豊富な場合に、より有効なカードに後出しで撃てるカードという側面もあります。

ここで忘れてほしくないのは、決して奇をてらえという意味ではないということです。
当然ながら、結果としていわゆる汎用カードが採用されることもあります。
今回も、神の宣告大嵐は採用されています。前者は相手の大嵐警戒と作戦の保護、後者はガン伏せへの対抗策と竜魂の城を破壊できるカードとして採用しました。
汎用カードだとかネタカードなどといった余計な頭の枠組みを外して、いろんなカードを平等な目線で見てみてください。そういう場合は、遊戯王カードwikiなどで検索して探すよりも、実際のカードプールから拾い上げて眺めてみる方がいいヒラメキを受け取れる気がします。個人の感想です。 


ステップ4:調整

最後に、一人回しや対人戦でデッキの動きを確認し、調整していきましょう。
この時に気を付けたいのは、機能していないカードが見つかった時に、「なぜこのカードが機能しないのか」をしっかり考えるべきだということです。 原因はそのカード自体ではなく、他の部分にあることも少なくありません。そのうえで、カードを入れ替えながらより『やりたいこと』に最適化したデッキを作っていってください。

最後に、今回構築した青眼デッキのレシピを載せておきます。

【乙女ヌート青眼】

メインデッキ*40
-モンスター*16
--通常モンスター*5

青眼の白龍*3
アレキサンドライドラゴン*1
ガード・オブ・フレムベル*1

--効果モンスター*11
青き眼の乙女*3
聖刻龍-ドラゴンヌート*2
聖刻龍-ドラゴンゲイブ*2
伝説の白石*1
レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン*1
神竜アポカリプス*2

-魔法*13
--通常魔法*8

竜の霊廟*3
召集の聖刻印*2
大嵐*1
死者蘇生*1
ワン・フォー・ワン*1
--速攻魔法*5
銀龍の轟咆*3
禁じられた聖杯*2

-罠*11
--通常罠*3

亜空間物質転送装置*2
スキル・サクセサー*1
--永続罠*5
竜魂の城*3
リビングデッドの呼び声*2
--カウンター罠*3
王者の看破*2
神の宣告*1


エクストラデッキ*15
-シンクロモンスター*4
蒼眼の銀龍*3
トライデント・ドラギオン*1

のこりのカードはお好みで